
朝の満員電車、押しつぶされるような車内でスマホを眺めていたら、隣の上司がLINEで「今日の会議、また遅れるなよ」とメッセージを送ってきた。
毎日顔を合わせる上司なのに、何気ない言葉にもイラッとしてしまう。会議中も細かい指摘ばかり。やってられない…と思いながらも、表面上は「了解しました」と笑顔で返す。
あなたにも、そんな“なんとなく苦手”な人がいませんか?
実はその「苦手」という感情、相手の性格や態度が原因ではなく、“自分自身の認知のクセ”から生まれているのかもしれません。
「苦手な人」はあなたの中にいる?

本書『苦手な人と上手につきあう技術』(伊庭正康 著)は、ただのハウツー本ではありません。
営業のプロフェッショナルである著者が、数千人と向き合ってきた中で培った“対人スキル”を体系化し、苦手な人との関係を根本から変える「認知行動×相性理論」を紹介しています。
著者が強調するのは、苦手な人のせいにするのではなく「自分の評価の仕方=認知の歪み」に目を向けること。
たとえば、いつも時間通りに行動するあなたが、毎回10分遅れてくる同僚にイライラしてしまうのは、「時間は守るべきだ」という“べき思考”が根本にあるから。
逆に、自分のミスを必要以上에 자책하는人は、「失敗=無能」という“マイナス思考”に支配されているのかもしれません。
認知の歪みを整える「セルフトーク」とは?

たとえば、あなたが「またあの人にムカついた…」と思ったとき、そのイライラの裏には「~であるべき」という固定観念が潜んでいるかもしれません。
本書では、こうした無意識の思考パターン、つまり“認知の歪み”に気づくことが大切だと説きます。
そこで役立つのが「セルフトーク(心の中のひとりごと)」です。
これは、瞬間的に浮かぶ感情や判断に対して、自分自身が冷静につっこみを入れる思考法です。
たとえば「上司の言い方、マジでムカつく!」という自動思考が湧いたとき、「本当に“いつも”そうだろうか?」と問い直してみる。
このように一呼吸おいて考えるだけで、感情の暴走にブレーキがかかり、客観的な視点が戻ってきます。
「べき思考」が強い人には、「人には人のやり方があるよね」「それもアリかも」と言い聞かせるだけで心が軽くなるでしょう。
「マイナス思考」の傾向がある人なら、「できないことが多い=まだ伸びしろがある」とポジティブに転換するセルフトークが効果的です。
大事なのは、自分に合ったフレーズをあらかじめいくつか用意しておき、心が揺れた瞬間に使えるようトレーニングしておくことです。
好きな漫画のセリフや名言をアレンジしてもOK。心の中の「もうひとりの自分」を育てることが、対人ストレスを減らす第一歩になります。
相手を“人”ではなく“タイプ”として見る「相性マトリクス」

さらに、著者が開発した「相性マトリクス」を使えば、苦手な相手を“人格”ではなく“タイプ”として分類し、合理的に対処できるようになります。
4つのタイプ
タイプ | 特徴 | 認識のポイント |
---|---|---|
独裁タイプ(ドライビング) | 結果重視、せっかち | メリットを重視して提案を |
感覚タイプ(エクスプレッシブ) | ノリ重視、アイデアマン | 共感と盛り上げで心を掴む |
理屈タイプ(アナリティカル) | ロジカル、慎重 | 論理とデータで安心を |
迎合タイプ(エミアブル) | 協調重視、平和志向 | 丁寧な配慮と傾聴が鍵 |
たとえば、冷たく見える「独裁タイプ」には「それって効率的ですね!」と相手の価値観に乗っかって話すと、一気に関係が和らぐことも。
逆に、自分が「マイナス思考」の傾向にある場合は、「相手がすごい=自分がダメ」ではなく、「相手と自分は違うだけ」と線引きをするだけでも、関係が劇的に改善します。
苦手な人が「強力な味方」になる日
著者は「初対面で苦手な人でも、10回は会ってみる」と言います。
回数を重ねるうちに見えてくる相手の“スタイル”さえ掴めば、その人との距離感を自在に調整できるようになるからです。
実際、会社でも家庭でも、「絶対に苦手!」と思っていた人が、ちょっとした視点の転換で“理解できる存在”に変わる瞬間があります。
結論:「苦手な人」と付き合える人は、人生の選択肢が広がる

「苦手な人」と距離を置くだけでは、根本的な解決にはなりません。
むしろ、そうした人とうまく付き合える人こそが、職場でも私生活でも信頼を集める存在です。
この本は、そんな人間関係の達人になるための“ガイドブック”。
- あの上司ともっと冷静に話せるようになりたい
- 顧客との関係を改善したい
- 義理の家族とのストレスを減らしたい
そう感じているあなたにこそ、ぜひ手に取ってもらいたい1冊です。
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